海外での気づき

昨夜、約3週間滞在していて初めて雨が降りました。乾期だと聴いていたので、雨には驚きましたが、もっと驚いたことがありました。

パンチャカルマの参加者ではありませんが、1週間前から滞在しているロシア人の女性がいます。食事のテーブルが一緒になったり、道でそれ違うことは多いんですが、彼女はいつも独りで居て、笑顔を見せることはありませんでした。講義の時などは積極的に質問をするので、人と関わるのが苦手という印象は持ちませんでしたが、厳しい表情をしている彼女は近寄りがたい存在でした。

海外での気づき

昨夜、夕食時に私の目の前の席に、彼女がインド人男性と一緒に座り、話し始めました。「ほぉ、友達ができたんだ」と思いながら食事をしていたその時、スコールのような雨が降り出しました。雨音がしてから少して、彼女が目の前に居る私の顔を見て「雨なの?」と尋ねてきたので、「そう、雨ですね」と答えると、子どものような笑顔になって「雨! 私、雨が大好きなの!」と、目を輝かせながら言ったのです。それには嬉しい驚きがありました。彼女はただ、自分自身に正直な人だったのです。

海外での気づき

日本人は、どうしても周囲の人に気を遣ったり気配を察して振る舞うことをします。気配を察する、場を読む、礼節と調和を重んじる、そのような質は、日本人の美質であり、私は好きです。例えば、クラス中にチャンティングをしますが、日本人のチャンティングは本当に美しい。音程を瞬時に調整して合わせますし、リズムも最後のリットまで綺麗に合わせます。音量の強弱までも微妙な部分まで合わせていきます。Tiwariji先生が昨年日本に来られた時、日本人のチャンティングをとても気に入ってくださいましたが、今回のメンバーのチャンティングも素敵でした。何も言わなくても、みんなが調和に向かうのは本当に美しいと思います。それに比べて、インド人が過半数、西洋人が少数参加しているヨガクラスでのチャンティングは、凄い。各自が歌い出した音程を変えようとしないし、リズムもバラバラ、決して美しくありません。それは音楽教育の違いかもしれませんが、それだけではないように思います。

ただ、先ほどのロシア人のように、調和することに関心を向けず、自分自身に正直であることも、とても大事な質ではないでしょうか。インド人夫婦とよく話をするようになったのですが、奥さんは「私は自分に正直でいることが一番大切なの。友達と意見が合わなくなって別れることになってもいい。それよりも自分に嘘をつきたくないし、自分に正直さで居たいの」と言っていました。

人それぞれ考え方や価値観が異なりますから、自分を重んじることと他者を重んじることの間でバランスを取るには、高度な能力が必要になりますが、日本人は、より自分を持つことが必要だとあらためて思いました。

海外での気づき

蛇足ですが、そのインド人夫婦の奥さんから「インド人の印象はどう? 正直に教えて」と言われたので、「見知らぬ人とそれ違う場合、日本人は失礼に当たるので目を見ようとはしない。西洋人はアイコンタクトをして軽く微笑んだり挨拶をする。インド人は無表情でじっとこちらを観る」と答えて真似をしたら、爆笑していました。奥さんは「私も、じっと見られると腹が立つのよ」と笑いながら言っていました。

私は観光目的の海外旅行には興味がなく、ここ20年はそのような旅行はしていません。トレーニングやワークショップ、会議などでしか海外に出ることはありませんが、いろいろな国の人と接することで、日本や自分を客観的に観ることができるのは、何より面白いです。

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