ススキの群生を観て思うこと

夕陽のなかにススキの群生が輝いていました。この光景に出合ってすぐに車を停車させ、シャッターを切りました。撮影した時はただただ美しい風景に感動していましたが、奥寂庵に戻って画像を改めて眺めると、ススキが群生している場所は休耕田だったことが分かりました。

ススキは根が深く、ユンボでなければ掘り出せませんから、この休耕田を生き返らせるには、かなりの費用と労力が必要となるでしょう。こんな山奥の不便な場所で、機械がない時代に、木を伐り、根や石を掘り出し、掘り出したものを他の場所に移し、土地を平らにして土作りをし、山から水を引いた先人の努力をおもんぱかると、美しさに感動するだけではなく、いろいろな思いが心に浮かびます。

そのような先人達の努力を十分に知り、先祖からの土地を代々受け継いで守ってきた地元の方々は、自分の代でこのような休耕田にしてしまったことをどのような気持ちで眺めていることでしょう。守りたいと思ったところで、高齢化している人々にとっては、どうにもなりません。このようなことは、ここだけではなく、日本全国で生じています。「時代が変われば仕方のないこと。必要なくなれば淘汰されるから、必要のないものへの執着を手放した方がいい」という見方もできます。

しかし地元の人と話をしていると、この土地のことを熟知しているのが分かります。以前、ある場所を畑にしようと思って耕作していたら、軽トラで目の前を通った地元の方にこう言われたことがあります。「そこの地下には、山から流れて来る水脈があるすけ。畑にすると水が出るからやめた方がいいぞ」と。外目からは水脈があることは全く分かりません。地元の人々のなかには、外見からは分からない、先人からの知恵が蓄積されているのです。そのような知恵と、知恵によって造られた農地が失われていくことは、勿体ないように思います。

しかし、嬉しいこともあります。戦後、北米から入ってきた外来種の「セイタカアワダチソウ」が、その強い生命力で地面の養分を吸い尽くし、根から出される毒性によって他の植物やモグラやミミズを追いやり、日本全国で勢力を伸ばしていたところ、日本の古来種のススキが繁殖を強め始めたことです。ススキの繁殖のおかげで、大地は再び養分を取り戻し、モグラ、ミミズ、鈴虫などの昆虫が野原に戻ってきたのです。また、最近の研究ではススキ属は、バイオマス原料として研究されている点も注目に値します。

「自然との共生」ということを述べるのは易しい。でも、実際に里山に居ると、問題の途方もなさと複雑さに直面し、途方に暮れます。しかも自然と共生するには、便利さと効率性、それに経済性をある程度諦める必要があるのも、問題をさらに困難にしています。例えば、このように思いを巡らしている時も、この時期は、ほうきとちり取りを椅子の脇に置いていて、カメムシを見つけると外に出すことを何度も何度も繰り返し行うために、その都度作業が中断されてしまいます。冬になれば除雪に相当時間が取られますし、少し前までは草刈りに相当時間が取られました。

ただ、最後にお伝えしたいことは、そのような一見無駄な時間が、生きていること、自分のいのちと自然のいのちを実感させてくれるのです。

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